裏収納付きのカードケースを設計します。カード収納部設計のポイントなども紹介しており、この記事でどのように幅や高さサイズを決めればよいかわかるようになります。
最後に型紙PDFのダウンロードリンクも載せていますので是非最後までご覧ください!
なお今回は考え方を伝えるために数字が多く出てくるかもしれません。細かい数字がたくさん出てくるところは、ざっくりどのようなポイントがあるのか理解できれば応用がききます。
気になる部分だけしっかり数字を見ていただければと思います!
完成品
まずは今回設計した型紙で製作したカードケースを紹介します。
できるだけコンパクトにしたかったので最低限欲しい機能としました。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/IMG20231024220617.jpg)
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/IMG20231024220721.jpg)
(パーツのカットに失敗して上側が少しずれてしまいました。。。)
型紙設計
基本仕様
まずは最低限欲しい機能を明確にします。
以下の仕様をかんがえました。
- カード収納×2
- 裏収納×2
仕事柄領収書等を収納することが多く、カード収納の他に裏収納も取り付けることにします。
外観イメージ図
仕様が決まったら実際に外観を決めていきます。まずは手書きでざっくりイメージを描きます。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/0da92235d76e8bb23c6af4fdbe996c37.png)
このとき狙いたいサイズがある場合はざっくりで記入しておきます。
ここでどの寸法を決めないといけないかアルファベットで記載しておくと後で整理しやすいです。
実際のサイズをこの後の工程で図面を書きながら微調整していきます。
作図
イメージ図が出来上がったら実際に作図してサイズを決めていきます。決める必要がある寸法は、カード収納部の幅と高さ、全体の外形サイズです。
カード収納部 幅方向
まずカード収納部を決めるにあたってカードサイズを知っておく必要があります。
カードのサイズはISOと呼ばれる国際規格で以下のように決められています。
幅53.98 × 長さ85.6mm × 厚さ0.76mm
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/438e5d386e8d153f7810374250c98a3e.png)
このサイズは交通系ICカードなども共通です。
↓カードサイズ参考記事はこちら
これを基準にカード収納部のサイズを決めていきます。
縫い位置を端から3mm、
さらに縫い位置(赤の点線)からカードまでの余裕分を3mm、
合計6mmをベース端からの距離とします。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/ad21330752d909edc8aac62ab7ad16b3.png)
反対側も同じように位置を決めます。
これでカード収納部分の幅が65.98mmとなります。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/image-1.png)
キリが悪いので幅66mmで決定。。したいところですがもう少し調整します。
ポイントは縫い線の距離と菱目打ちの間隔です。
4mmピッチの菱目打ちを使う場合、
縫い線の距離を4の倍数を基準に決めていきます。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/7436100ca7bec2084adbefae356096ec.png)
幅66mmのとき、縫い線の距離は60mmになります。(両側の縫い代を3mmとするため)
このままだと段差部分(下図の赤丸箇所)が菱目打ちと重なってしまうため、幅を66→65mmと1mmだけ短くすることで段差部分を回避します。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/11/c007c4e4bcc56e739e0b8572a63fc86b.png)
ということで幅方向は65mmで決定します!
なお実際に菱目打ちをする際は多少ずれるので、段差と重ならないように微調整しながら作業していきます。
しかしここであらかじめ調整しておくことで実作業時の調整を最小限にすることができます。
カード収納部 高さ方向
続いて高さ方向を決めていきます。
2枚のカード収納をつける予定ですが、まずは下側の位置を決定します。
カードの突き出し部分を13mm、余裕部分を3mmに設定します。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/2239d49832ad487ac513aca2caa7abdb.png)
続いて2枚目の位置を決めます。
1枚目と同じくカードの突き出し部分を13mm、
余裕部分は少し長目に取った方がバランスが良いので15mmとします。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/95819db5612e364333ab0b0a1a905a01.png)
全体の長さが122.6mmと中途半端になったのでここも微調整していきます。
先ほどと同じく4mmピッチの菱目打ちを使う想定で縫い線距離が4の倍数になるようにします。
(縦のラインは段差がないので単純に4の倍数でOKです)
縫い線距離が116.6mm(122.6mm – 両端の縫い代6mm)なので、4の倍数の116mmとすると、
縦の全体の長さは116mm+上下の両端3mm分で
122mmで決定します。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/4f5be060a406ae44dd0010e573dfcf87.png)
↓
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/a823938db7488ceebca5b718cf022aa9.png)
ちなみにT字型パーツの下側位置は、カードの下端+6mm(縫い線位置3mm+余裕3mm)の位置にくるようにしています。
全体サイズの決定
ここまでくればあとは全体サイズを決めるのみです。
下図のAさえ決めれば全ての寸法が固まります。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/22d03fe73311d9ab28e8171dcfe3b288-1024x721.png)
A部分も菱目打ちのピッチ4mmを基準に寸法を決めます。
今回は薄型のカードケースなので4の倍数の20mm程度でOKでしょう。
ということで全てのサイズが決まりました。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/a9625d23287578d73c01163f8c15ff05.png)
型紙完成! ダウンロードはこちら
パーツごとに分解し型紙化したものがこちらです。
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/9f8490afc46b1660c529b4ec504ede5a.png)
![](https://machinery-craft.com/wp-content/uploads/2023/10/52791ae6fd86b37855b1852094a1566c-1024x719.png)
↓↓型紙PDFダウンロードはこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はカードケース収納部分のサイズの収納部分にスポットを当てて解説しました。
少し細かい話になってしまいましたが、”菱目打ちのピッチと縫い線距離をポイントに設計する”というところを意識するだけでも設計に違いが出てくると思います。
今回は縫い線までの距離を3mm、菱目打ちピッチ4mm想定で設計しましたが、考え方を理解しておけば数字が変わっても様々なサイズに流用できます。
サイズや収納数をいろいろと変えて設計してみてくださいね。
型紙製作の参考になれば幸いです!
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