型紙の作成はなんとなくのサイズ感でも進めることができてしまいます。ですが今回紹介する重要なポイント(考え方)を意識して”設計”することで、製品をより機能的且つコンパクトに仕上げることができるようになります。
今回は特に重要と考えるポイント3つにまとめましたので是非実践してみてくださいね!
型紙設計において意識するべき3つのポイント
①基本的な仕様を”数字で”決める
全ての寸法には意味があります。
アイテムの用途(なにを入れるか)、使用する菱目打ちサイズ、縫い代の寸法など先に決められる寸法はできるだけ明確にしておきましょう。
例えばカードケースを作りたい場合は、収納するカードのサイズを確認する必要があります。
↓↓カードサイズに関してはこちらの記事を参照ください
カードサイズ幅は約54mmなのでそれを基準にして縫い代を片側3mm、余裕を片側3m取りたい場合は最低限必要な外形は66mmとなります。(カードサイズ54mm+縫い代両側6mm+余裕両側6mm)
ここからサイズを調整したい場合は余裕分の6mmを削るか、とか縫い代位置を片側2.5mmとするか、といった形で調整することになります。
このように、数字が明確になっていれば、調整余地がどこに何mmあるのかすぐに確認することができます。
また寸法として守らないといけない箇所、多少融通が利く箇所、デザインを自由に変えられる箇所などもより明確になり、必要な機能を残しつつよりコンパクトな設計を行う事ができるようになります。
“ここはR形状にしてデザイン性を高めよう”、”ここはコンパクトにしたいから最小限の寸法にしよう”など切り分けも行いやすくなるので、先に決められる部分は出来る限り”数字で”決めるようにしましょう。
②イメージ図(ポンチ絵)を作成する
型紙の詳細設計に入る前にまずはイメージ図を作成しましょう。機械設計ではよくポンチ絵と呼ばれるものです。これを作成する目的は最終的なアイテムの全体像を先に決めてゴールを明確にしておくためです。
ポンチ絵が先にあれば、途中の製作工程は道筋がたくさんありますが出来上がったモノが、最初に作りたかったイメージから大きくずれることはないでしょう。
↓↓ポンチ絵の参考記事はこちら
逆にポンチ絵を描く前に先に詳細設計を始めてしまうと、
・途中でイメージと違うと気づいてやり直した時の手戻り(時間のロス)が大きくなる
・全体像が見えていないのでパーツ設計時に迷いが増え時間がかかる
・各パーツの寸法が正しいのか判断が難しくなる
などなどデメリットが多々あります。
なので先にポンチ絵を作成し、その後の組図、部品図の詳細設計で具体的にどのように製作するか、パーツの形状はどうするかを決めていく流れで設計するべきです。
旅行などの旅程決めと一緒ですね。先に目的地を決めてその後に具体的にどうやって行くか決めると思います。電車?車?ルートはどうする?などなど..
(目的地を定めずぶらぶら旅をすることにも憧れますが…話がそれてしまいますのでこれくらいにしておきます。。)
目的地=完成品が明確になっているほど、詳細設計もよりスムーズに進めることができます。まずはポンチ絵を描くことでイメージを明確にしましょう。
③いきなり製作を開始しない
これはどういう事かと言うと、「型紙が完成したら早速準備した革にマーキングして製作開始!」するのではなく、まずは紙で試作してみるということです。
型紙が出来上がったら、型紙を切り出してセロテープなどで実際に組み上げてみましょう。
↓L字ファスナーウォレットの紙試作品
これをすることで、各パーツ寸法に誤りがないか、パーツは足りているか、パーツの組み立ては問題ないかなどをチェックできます。
また、組み上げた際のサイズ感もここで確認します。
思ったより全体のサイズ感が大きいので寸法を小さくしたい、とか小銭入れ部分をもっと大きくしたい、などイメージがより鮮明に湧くのでここで最後の調整を行います。
革もただではないので紙で事前チェックを行うことで、材料を無駄にするリスクを低減しましょう。
練習ならまだいいですが、特に高めの革材料を使用する場合は後悔しないようにここで納得いくまで修正を繰り返しましょう!
まとめ
今回は型紙設計において意識すべきポイントとして以下の3つをご紹介しました。
①基本的な仕様を”数字で”決める
②イメージ図(ポンチ絵)を作成する
③いきなり製作を開始しない
今回は具体的な技術ではなく、主に設計の考え方に関する内容でした。
もちろん技術的な部分も重要ですが、同じくらい設計における考え方も必要になります。
基礎がしっかり出来ていれば、応用も効きやすく、自由に作りたいものが作れるようになりますので是非意識的に設計してみてくださいね!
参考になれば幸いです!
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